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平成29年(2017年)1月25日更新

小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成29年1月25日)

知事記者会見
2017年1月25日(水曜)
15時00分~15時47分

知事冒頭発言

平成29年度予算案について

【知事】東京都知事、小池百合子でございます。平成29年度東京都の予算案がまとまりましたので、その概要につきまして、私の方からご報告、ご説明をさせていただきます。お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
さて、「東京大改革」という旗を掲げまして、私が知事に就任をいたしまして、はや半年となろうとしております。この間、都政の透明化、そしてまた、都民とともに進める都政、「都民ファースト」の都政の実現を目指して行動をしてまいったつもりでございます。都政の様々な問題も掘り起こしてまいりました。そして、本当に「このまま」でいいのか、しっかりと熟慮し、様々な見直しもしてきたところでございます。
こうした改革が目指すものは、これは誰もが輝ける「新しい東京」の実現でございます。これこそが私の知事としての使命であると、このようにも考えているところでございます。そのためのナビとでも申しましょうか、航路を示すのが、先日発表いたしました「2020年に向けた実行プラン」でございます。そして、一つひとつの政策の「実行力」、これを担保するのが「予算」という位置付けになります。
予算というのは、単にお金をつければいいというものではありません。そこに都民が納得をされるのか、共感が生まれるのか、これによって、予算の額を超えて、その効果が出ることもございます。そしてまた、現実の成果につながるものとなっているのかどうかということが重要であります。予算をつけたところで終わりというわけではございません。
そのため、昨年の末には、都議会の各会派の皆様方、区市町村の代表の方々、各種団体の皆様方から、それぞれ代表する都民の声を伺ってきたところでございます。そして、知事査定の日程も、延べ8日間にわたりまして、これはかねてと比べますと倍の時間でございます。つまり、一つひとつの政策を真に都民の皆様方のニーズに、利益にかなうものなのかということをしっかりと議論を、そしてまたチェックをしてきたものでございます。
そしてまた、こうした予算を都民の皆様方に分かりやすくお伝えするということも重要でございます。そういったことから、このようにして、私の方から直接予算についてご報告するところでございます。
一言で、29年度予算について申し上げるならば、「メリハリのついた予算」でございます。そしてまた、職員にも「メリハリのついた予算にすべし」ということで、このメリハリを大切にいたしました。メリハリをつけたというのを分かりやすくご説明するために、メリーちゃんと、ハリーくん、若手職員がこのようなキャラクターを描いてくれました。
加えまして、ポケット版の分かりやすい冊子でございますが、ここはまだ当然のことながら予算案でございますけれども、このダイジェスト版、それから、もう1つは、子供向けの冊子、これは「税金ってどういうふうに集めて、どういうふうに使われているの」という、都政そのものがどういう仕組みなのかというのを、子供の頃から知ってもらいたいという思いで、このようなものを作ったわけでございます。1人でも多くの納税者の皆様、都民の皆様に、この都政の仕組みも含めて、今回の予算を知っていただく、そのためにメリハリをつけたわけでございます。
予算案の編成方針でございますけれども、平成29年度の予算は、「『新しい東京』の実現に向けた改革を強力に推し進め、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算」と、このように位置付けております。そして、第1に、「セーフ シティ」「ダイバーシティ」そして「スマート シティ」、かねてより申し上げております3つのシティの実現に向けまして、東京が抱えます課題の解決とより一層の成長創出のための施策の展開を力強く進めてまいります。第2に、全ての事業の総点検を実施し、無駄の排除を徹底して行うということで、都民ファーストの視点に立ちました財政構造改革の一層の推進を図ります。この2つを、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算、そのベースといたしました。
そして、次に、予算案のフレームについてご説明をしておきます。一般会計の総額は6兆9540億円、5年ぶりのマイナスになっております。全ての事業に終期、つまり、ここで「はい、終わり」という、そのような終期を設定いたしまして、評価の時期をルール化いたしました。また、事業評価の取組を強化いたしまして、徹底的に無駄を排除したということで、過去最高となります720億円を削る、逆に言えば、確保したことになります。
一方で、3つのシティの実現に向けました施策でありますけれども、こちらには積極的に財源を配分いたしまして、こちらの方は、過去最高の、こちらは件数でありますけれども、382件、新しい事業を立ち上げることといたしております。
このように、29年度予算案は無駄は徹底して排除、そして、総額ではマイナスではございますけれども、必要な政策には思い切った予算をつけることによって、メリーちゃんとハリーくんと、「メリハリのついた予算」ということになるわけでございます。
それから、歳入についてご説明をしておきますと、歳入の約7割を占めます都税収入でありますが、企業収益の低下などによりまして、5兆911億円となりまして、6年ぶりのマイナスでございます。それから、基金というものがございますが、29年度には3つのシティの実現のための基金を作ります。それに向けまして、まず、3394億円を取り崩して、積極的な活用を図りつつも、29年度末では、約1兆9000億円の残高、貯金です、これを確保しているところであります。
一方で、都債、都の債券、この発行額は2983億円にとどめまして、前年度から更に発行額は削減をいたしております。これに伴いまして、都債の残高につきましては、5年連続のマイナス。都民1人当たりの残高は、20年前と比較しますと、大体2割減少することができたことになります。
この基金でありますけれども、都民により分かりやすい財政運営を行いますために、28年度の最終補正予算において整理を行いました。具体的には、従来からある基金を、先ほどの「2020年に向けた実行プラン」に合わせて3つ、「ダイバーシティ実現基金」「スマート シティ実現基金」「セーフ シティ実現基金」の3つの体系に整理・分類し直しております。
また、28年度の最終補正予算でありますが、新たに300億円の「イノベーション創出基金」、それから、700億円の「無電柱化推進基金」、これを創設いたします。そして、福祉先進都市実現基金には2035億円の積み増しを行ったところでございます。これらの基金を活用することによって、実行プランに掲げた施策の積極的な展開の後押しをするという考え方であります。
それから、今年度に、補正のところでご説明いたしましたが、「東京環境サポーター債」というのを100億円規模で発行いたしましたところ、即日完売となったわけでございますが、それぞれお買いいただいた個人や機関投資家の皆様方には、お礼状を私から差し上げているところで、全部、シリアルナンバーも入っているということで、そして、いかに使われているかの説明がございます。
これはある種のトライアル、試行段階でございまして、29年度は、このグリーンボンド、環境に資するための債券でありますが、世界銀行などが中心となって進めている、世界各国でやっているのだけれども、日本ではやっていなかったというのを初めて東京都で実施をいたします。その名称は、「東京グリーンボンド」と呼ぶものでございます。グリーンボンドとは、環境問題の解決に必要な資金を調達するための債券でございまして、これによるトライアルでいろいろと知見も重ねてまいりましたので、今回の発行規模は倍の200億円と予定いたしております。これによって機関投資家などの、国内には1400兆円とか1500兆円とか、そのお金が環境の方に回る、そのチャネルを作るということでございまして、国内の貴重な資金を国内の環境対策にしっかりと活用していくという観点から、スマート シティの実現に向けました都の環境施策に積極的に活用していく考えでございます。
付け加えますと、前もご説明いたしましたけれども、パリ市が例えばグリーンボンド発行しているのを日本の機関投資家が買って、それはパリの環境をよくするために皆様方のお金が使われてきたということを、しっかりと、東京なら東京で環境のために生かしていこうということでございます。他の国を支援するのも、もちろん意味がございますけれども、この「東京グリーンボンド」については、東京の環境をよくしていこう、そのための債券でございます。
例えばオリンピック・パラリンピックの競技施設の環境対策、それから都道の遮熱性舗装などにこのお金が活用されます。
それから、都有施設、都が持っている都立の図書館であったり、そういったところの建物の、LED化をしていくということなので、都民の皆様方がこれに関わることによって、まず参加意識につながりますし、そして何よりも世界をリードするスマートなエネルギー都市と、そしてクールでクリーン、これらの幾つかの課題を、グリーンボンドを通じて皆さんとともに進めていこうという、そういう施策でございます。
これが歳入でございますが、今度、反対に「歳出の状況」についてご説明をいたします。
歳出の特徴としては、先ほどのメリーちゃんとハリーくんがまた出てくるのですけれども、「メリ」の部分といたしましては、投資的経費を13年ぶりに減といたしました。
一方で、「ハリ」の部分でございますけれども、「福祉と保健」分野への支出が、待機児童の解消に向けました取組を充実させるということで、349億円増加させまして、これは過去最高の額といたしております。まさに待機児童ゼロということを目標としているわけでございますが、これにかなう施策を29年度で大々的に展開していこうという考え方でございます。
この後は、29年度の予算案におけます重点配分の施策について、3つのシティのテーマごとにご説明をしてまいります。
まず、「ダイバーシティの実現に向けた取組」でございますけれども、今申し上げましたように、「待機児童解消に向けた取組」。予算額は1381億円、前年度と比べまして403億円の増額、大幅な「ハリ」となっております。ハリーくんです。
保育人材の確保・定着に向けまして、現場を担う保育士の方々の確保というのが、これはもう大変頭の痛い問題、課題でございますけれども、その処遇の改善のために100億円を超えます予算を追加して様々な取組を講じるところであります。こうした取組で平成31年度の末までに待機児童の解消、これを目指してまいりたいと考えております。平成31年度末でございます。
それから、次に「未来を担う人材の育成、高齢者・障害者が暮らしやすい社会の実現」でございますけれども、未来を創る子供たちに教育機会の「格差」があってはならないという考え方をもとに、都立高校などでの給付型奨学金を新たに創設します。そして、私立高校などにおけます給付型奨学金の拡充、これら家庭の経済状況に左右されず、安心して学び続けられる環境の整備ということでございます。もう一度申し上げますと、教育機会の「格差」、これがあってはならない。そのためのベース作りであります。
それから、ソーシャルファームの仕組み作りということで、障害者団体と企業活動のマッチングを進めるということで、障害者がいきいきと暮らせる社会を目指してまいる所存でございます。来月はグラミン銀行のムハマド・ユヌスさんとも対談をする予定にいたしております。
こうした取組を通じて、誰もがいきいきと暮らせる、そして活躍できる、働ける、学べる、そんな東京を実現してまいりたいと考えております。
次に、「誰もが活躍でき、優しさを感じられ、健康に暮らせる社会の実現」ということでございますが、育児、介護している方々も含めまして、誰もが、どこでも仕事ができる環境を整えるという、そのためのテレワークを推進してまいります。また、これが進むことによって、通勤電車の混雑緩和にもつながるということを考えております。
そのほか、ホームドアの整備、トイレの洋式化などによりまして、誰もが優しさを感じられるまちづくりを進めてまいります。トイレの洋式化につきましては、防災の観点からも必要だと考えております。避難所になります小学校、中学校、高校等の学校などの施設におけるトイレがまだまだ和式の比率が高いのですが、防災でいざとなったときに、その場所に来られる高齢者の方々がかがむのが難しいというようなことが実際に阪神・淡路大震災のときも、私も見てまいりました。そういったことも考えますと、洋式化ということ。観光の観点からも必要ということで、大幅な予算をつけたところでございます。
「スマート シティの実現に向けた取組」をご紹介いたします。環境先進都市東京の実現に向けまして重要なこと、それは、具体的な行動へとつながる一人ひとりの意識改革でございます。
そこで、とても具体的な政策です。白熱灯2個をお持ちいただいた方にはLED1個を差し上げるというものでございます。これによって、LED電球のメリットを多くの人に理解をしていただく、普及のための起爆剤としたいと考えております。実は、ロンドンのリヴィングストン市長がこの方式をとることによって、ロンドン市のエネルギーの削減とCO2排出の縮減ということに実際につなげていったという。また、一番大きかったのは意識改革です。家庭のCO2消費の約3割が、照明の電力消費によるものということであります。
また、そのほか、バスの停留所にソーラーパネルなどを設置する事業、それから食品ロスを削減するといったことなどによって、スマートエネルギー都市・東京、クールでクリーンで快適な都市・東京、これを実現してまいりたいと考えております。
それから、「世界に開かれた国際・観光都市東京の実現」でございますが、旅行地としての東京の魅力を更に磨き上げていきたいと思っております。そのためにも、世界に広くまず発信しなければなりません。外国人旅行者の更なる誘致を進めていく考えでございます。年末の紅白歌合戦もそうでしたけれども、プロジェクションマッピングというのは、どんどん進化しているわけでございますが、東京の各地でのプロジェクションマッピングを、隅田川の花火と同等に世界に知らしめるというのは、いろいろな技術的にも、これは東京は発信地になれると、こう思います。
それから、ユニークベニューの推進。ユニークな都立の美術館、すばらしい美術館、庭園美術館などもございます。これをもっと開放していくということによって、MICE、国際会議などの誘致などにつなげていきたいということでございます。
それから、ブロガーによる東京の魅力の発信など、これも発信をするというのは大変意味がございます。2020年、もちろんオリンピック・パラリンピックでございますけれども、2020年に世界の注目が集まる絶好のチャンスでございますので、それを最大限生かしていくということであります。
こうした取組を通じまして、2020年の訪都外国人旅行者数2500万人という目標を達成してまいります。今の倍という、大変チャレンジング、野心的な目標となります。
続きまして、「国際金融都市の実現、成長産業の育成等」について、ご説明をしておきます。
東京がアジアナンバーワンの国際金融都市に復活をするというためには、外国企業誘致の加速化が必要でございます。金融庁などとも連携をしながら、新たに実施をいたします「金融系外国企業発掘・誘致事業」などを通じまして、資産運用業、フィンテック企業などを誘致してまいります。先ほどもInvest Tokyoの場におきまして申し上げましたように、「We will make Tokyo great again.」という誰かの言葉ではありませんけれども、まさに東京をもう一度アジアのハブに引き上げて、取り戻すということをやりたい、こう思っております。
それから、伝統工芸品など、東京には「宝物」がたくさんあります。これを海外展開するということで、「江戸東京きらりプロジェクト」「中小企業へのIoT化支援事業」などを通じまして、産業の活性化を促進させて、日本経済をしっかりと牽引し、アベノミクスにとりましてもプラスの効果を生み出したいと思っております。
それから、「経営安定化支援、農林水産業の振興」について、ご説明をいたします。
東京の産業の源泉は、実は中小企業の技術であったり、それから、そのノウハウの積み重ねということになりますが、それらをちゃんと承継できるように、次の世代へ伝えられるように、また、販路を開拓するための展示会出展などの支援、こういったことも必要になってくる。それから後継者の育成に対します支援も行っていくということで、しっかりと予算もつけさせていただいたところでございます。
それから、農林水産業の振興でございますけれども、これは前から私も練馬の大根を自分で育てて、引っこ抜いて、お漬け物を作って、百合子漬けなんてやっておりましたけれども、江戸東京野菜の販路・生産の拡大、ブランド化の支援などの事業を実施いたしてまいります。
それから、中小企業、農林水産業の更なる活性化、これは、東京の更なる成長への1つの大きなファクター、要因であると考えております。
それから、「セーフ シティの実現に向けた取組」をご紹介しておきます。
まず、無電柱化でございますが、先日の国会で法律が成立をいたしました。条例化するということについても触れてまいりました、この無電柱化でございますけれども、これを計画的に進めてまいります。そのための方策であるとか、またさらに、技術的にもっと、この無電柱化に向けての技術革新を大々的に行わなければ、お金はつぎ込んでも距離を稼げないということになりますので、これについて、しっかりとした取組を、まず進めて、そしてスケジュールを考えながら、この無電柱化を、途中から、ダーっと加速化していきたいと考えております。
それから、都道だけではなく、都道とクロスになっている区市町村道でありますけれど、この無電柱化に対しましての補助もすることといたしまして、その対象について、全ての区市町村道に拡げていくということで、取組を加速させていきます。
それから、安心・安全なまちという観点からは、「倒れない、燃えない、水害に強いまちづくり」を行うということでございます。災害から都民の命、生活、財産を守っていくということは、都知事、政治家の責務でございます。木造住宅密集地域の不燃化・耐震化を着実に進めてまいりますし、また、都市型の水害に対する備えもしっかりと講じてまいります。
耐震化率・不燃領域率などの目標達成をいたしまして、水害対策に向けて取組を着実に推進をしてまいる、そのための予算を盛り込んでおります。
続いて、「地域コミュニティの活性化、まちの安全安心の確保」でございます。
ヒアリングもさせていただいた町会・自治会からも伺っておりますが、高齢化による担い手不足を解消しなければなりません。そして加入率を向上させるということで、そのために新たに専門アドバイザー、プロボノワーカーというものを派遣し、地域の課題解決を支援する地域活性化支援事業を実施してまいります。また、新たに区市町村立の公園の防犯カメラ整備に対しての補助も行ってまいります。
それから、商店街連合会からもご要望がございました空き店舗の問題でありますけれども、この空き店舗を活用して地域の課題解決を行う、そんな商店街を支援してまいります。商店街空き店舗活用事業、これも新規に実施をして参ります。
こうした取組を通じまして、活気に満ち、住みやすい、日常に潜んだ危険、そして犯罪から守られた地域へと、地域の活性化を図ってまいる、そのような予算を盛り込んでおります。
次に、女性が輝ける社会の実現についてのご説明であります。
我が国では、女性がその持てるエネルギーを十分に生かし切れていない、生かす舞台がない、生かし方がよく分かっていない、そのような女性の力、エネルギーに着目をいたしまして、そのエネルギーを推進していく、十分に生かしていくということは、日本全体の喫緊の課題であることは改めて申すまでもございません。そこで、今回の予算案では、女性の起業、就業、その支援。それから、かねてより申し上げている液体ミルクの備蓄・活用に向けました検討など、女性視点の防災対策など、数多くの取組を盛り込んだところでございます。先ほども申し上げましたように、「格差と段差」、これをなくしていくと、このように申し上げております。東京が世界の中でも輝ける都市となっていくためには最優先で取り組むべき課題であると、このように考えております。
続いて、「東京2020大会に向けた取組」でございますが、都民、国民のワクワク感を高めてまいります。そして参画意識を醸成していくということから、いわゆる「都市鉱山」から、携帯電話などからメダルの材料を集めていくプロジェクトへの協力を行っていくということで、既に携帯電話、おうちにそれぞれ死蔵されている携帯電話など、これをもう待ち構えて、送る準備を、送るというか、持ってきていただく準備をしている方がたくさんおられます。このようにして、だんだん、オリンピック・パラリンピックについても、今後、ボランティアの募集も行いますし、気運の醸成という、その段階ではないかと思っております。
それから、パラリンピックを見据えまして、競技団体、関係企業などからの意見も踏まえながら、障害者スポーツに対します技術、製品の開発も促進をして参ります。
東京2020年大会、ラグビーワールドカップ2019に向けまして、万全の準備を実施していくことも当然でございます。
最後の項目でありますけれども、「多摩・島しょの振興」でございます。
活力ある東京に欠かすことができないのは、東京の人口の3分の1を占めます多摩と、それから島しょ地域の発展でございます。このために、多摩ものづくり創業の支援を開始するほか、新たに電気自動車の普及と島しょ振興に向けた実証実験を実施するなど、様々な政策を効果的・重層的に展開をして参ります。
29年度予算案の概要を早足でご説明をして参りました。予算案というのは大変分厚いものでございますけれども、まずは、例えば、こういった形で全体像をおつかみいただき、一つひとつ、皆さんの共感を感じ取っていただけるように、これからも皆様方にしっかりとご説明をし続けてまいりたいと、このように思っております。そして、また、実行プランに掲げました夢あふれる東京の未来像を一つひとつ実現していきたいと思っております。前も足立工業高校で申し上げました、大きな志は一つひとつの小さな志の積み重ねであるということでございます。そして、「セーフ シティ」「ダイバーシティ」「スマート シティ」、それぞれ大きな目標がございますけれども、一つひとつの予算の積み上げによって、その3つのシティの実現につながっていく、このように考えております。都民の皆様方の共感と、そして、政治、行政の責任としてのこの大義と両方を兼ね備えた、そのような平成29年度予算案としてまとめさせていただきました。
私の方から以上でございます。ありがとうございました。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:3,044KB)

質疑応答

【記者】朝日新聞の末崎と申します。今回、知事が昨年の夏の都知事選で掲げられた公約に関しては、かなり網羅的に措置されているという印象を受けるのですけれども、ご自身なりのその思いというか、ご自身なりの自己採点がございましたら教えていただけますでしょうか。

【知事】自己採点はあくまでも都民の皆様方に、採点は、お願いするということだと思います。それぞれそういったご判断をいただく機会も、これからも幾つかあろうかと思っております。
それから、この予算案の中には、特に3つのシティということで整理をしてお伝えをいたしましたけれども、私の改革、東京大改革の一丁目一番地は情報公開でございまして、先日も、公金の支出についてのこの明確化ということも、これは予算というよりは、その行政のあり方という観点から進めていくものでございます。
そういったことから考えますと、そのように行政、地方自治そのものである東京都の都政そのものの体質を変えていくということ、これがまず1つあって、それとともに、これらの政策を皆さんに分かりやすく、そして、賢い支出ということを申し上げておりますけれども、納税者の方々が納得のいく、そういう使い方、支出ということを重ねていく。今日はそういった形で大きな幹の部分と、それから小さい小枝の部分などもわずかでございますけれども、ご紹介をさせていただいたということで、納税者、有権者、都民の皆様方のご判断の材料にしていただければと思っております。

【記者】フジテレビの小川です。知事、今お話しいただいたこととちょっとかぶってしまうかもしれないのですが、今回の予算は政党復活予算の廃止というのがすごく大きいことだったと思うのですけれど、その復活予算の廃止をした200億円、お金に色がついてるわけではないので、どこに行ったかというのはちょっと分からないとは思うのですが、その復活を廃止したということで、今回の予算にどういった大きな効果が出て、また、知事として、こういう部分がよかったなと思うところがあったら教えてください。

【知事】政党復活予算の廃止ということについては、これは地方自治として当たり前の姿に戻したということだと思っております。その意味で、今回の予算編成に当たっては、全ての皆様方、団体の皆様方からのヒアリングということはかなっておりませんけれども、しかしながら、多くの特に額の張る団体の皆様方から直接ヒアリングをするという作業をしてまいりました。また、各局からもそれぞれの、小さくてもいろいろな活動をしておられる団体、時には個人のこともあります。いろいろなご意見は各局でもってそれを吸い上げてきておりまして、その各局からの要望ということをまとめたのも今回の予算案編成のときに生かしてきたと思っております。
200億円というのは、いつの間にかできてきた既得権みたいなことであって、それがどこに行ったかというのを論じることさえ、あまり意味がないようにも思います。とにかく都民の皆様方に、都民ファースト、このフレーズに資するような予算案にできたものと、このように思っております。

【記者】フジテレビ「グッディ!」の広瀬と申します。知事自身、無駄なコストは削減するとおっしゃっていましたが、今回の知事査定を終えて、この予算案で削られた項目であったり、内容、その理由、そして、その額というものがあったら教えていただけますでしょうか。

【知事】要望のあった、これは局からの要望でございましたけれども、私はしっかり将来の卵を生む鶏には餌をあげたいと思うのですけれども。しかしながら、例えば大企業に対しての研究開発費を東京都がどこまで出すのかということでございますけれども、大企業はそれぞれで努力していただく。例えば東京都としてできるのは、今度、羽田空港そばに、今、準備中でございますけれども、自動運転というのがこれから国際的な競争になる、そこの日本というか、東京として、そういった技術を磨くための、何て言うのでしょうか、機会というか、会場を設けるなどといったようなことで、私はいいのではないかということで、結構額も張っていたのですけれど、それはやめました。
それから、例えばありがちな、ソーラーで発電をして、それをサイネージに使うとか、新しい技術がどんどんできていて、それを各市町村に建設していこうという、そのようなアイデアもあったのですけれども、時にして、今、サイネージはしっかりやります。これからの観光、インバウンドの観光客向けにも。しかしながら、それぞれに一つひとつぽんぽんぽんと置いていくのは、かつて風力発電のための風車を各地方自治体が「うちは環境に対して熱心にやっています」というような、何かお印づくりみたいな形になってしまってもどうかなと思いまして、それは数をうんと減らしました。
このように、いろいろな要望がございましたけれども、そこはまさしくメリハリをつけた形で、足すところはもっと足し、引くところは引くという形をとらせていただいたということでございます。

【記者】テレビ東京の松山と申します。すみません。無電柱化についてお聞きしたいのですが、「セーフ シティ」の第1項目に挙げているくらい、かなり力を入れていると思うのですが、改めてこの無電柱化をすることによって、東京をどのように変えたいか、また、そのようなかける思いを改めて聞かせてもらえたらと思います。

【知事】実はこれだけ無電柱化と、そのたびに叫んでいる小池の予算案のわりには額が少ないのではないかと考えられるかもしれませんが、技術革新のスピードの関係であります。それは今、電柱の上に上がっているトランスというのが地上に降りたときは結構どでかいものでありまして、そこを、技術開発していかないとなかなか地上に降ろせないのです。それから、地下を深く掘って埋めなければならないとされておりますけれども、つくばでそれぞれ関係省庁が連携してこの実証実験をいたしましたら、そんなに深く掘らなくていいと、浅層でいいということになっております。
これらのことをもう一度、安全性の確認などもしなければならなくて、現在進行形でありますので、急に進むものではないと。だから、逆に言えば、今、技術をグーっとためてですね、ゴルフで言うところのためです、今その時期で。そして、それらがグーっとたまっていくときに、そのどこかの年度で、できるだけ早い年度に、この後の年度に、この無電柱化というのを進められるような、そういう下地作りを29年度ではやっておきたい。その理由はひとえに防災です。阪神大震災を経験したということもあり、電柱というものが、もう皆さんの目になじみ過ぎていますけれども、しかしながら、津波、地震、それから、最近は、何ですか、突風というか、竜巻が起こったり、何が起こるか分からない中において、それから、昨日も大変な雪でしたけれども、電線に雪が積もるのです。それによって断線するのです。そうなると、今、電気でヒーターを起こしている方々もおられるのですけれども、こういった方々がもう大変寒い思いをする等々考えれば、地震国なのだから、電柱なのだというその意識を変えるということを、まずやっていく。技術を伸ばす。そして、防災に資するようなまちにし、結果的に景観としてもすばらしいと。
富士山が電線で、何ていうのですか、切られないように。どこから見ても、「富士山、きれいね」と。ユネスコの世界遺産から、電柱のために外されるなどということがあっては。電線病を早く治したいということであります。

【記者】朝日新聞の伊藤です。ありがとうございます。議会ヒアリングのことについてお伺いしたいのですけれども、ちょっと、さっき、議会ではないのですけれども、知事は、商店街の空き家など、実際にヒアリングを受けたものを反映させたとおっしゃっていまして、私学の無償化などは、公明党が要望していたものと一致したと思うのですけれども、それは、どのようなところを考えて反映させたのかというその意図と、あと、ほかに具体的な会派でなくて、会派名はおっしゃらなくてもいいので、議会ヒアリングをして、実際、反映、取り込んだものがあれば教えてください。

【知事】各ご政党からの要望は、濃淡はあれ、やはり都民の生活に必要な予算をという、そのようなご要望が多くございました。そして、その中で、例えば、私立の高校というのは、東京の場合、非常に比率が高いのです。地方と、特に高校の教育の事情というのは、東京は非常に特徴的なところがございます。そして、中にはもう有名校で、お受験で、幼稚園の頃からというような学校もある一方で、様々な私立の学校があるということで。これまでの私立への支援というのは、学校という組織に対する支援でしたけれど、今回は個人に対する、そこに子供を通わせている家族に対しての支援ということでありまして、学校そのものから人への支援ということに対して、私は、先ほども申し上げたように、「格差と段差」をなくす。その中で、私立の学校、それから都立については、新しい形で奨学金の制度をきちっと確立させたということで、経済格差による教育の格差は、これは避けるという、その考え方によるものであります。
各党から、そのほか、やはり豊洲であったり、オリンピックなどの課題をお寄せいただいておりますが、これはまた、今、現在進行形の部分であり、補正によっての措置の部分が多くなろうかと思っております。しっかり各党のご要望については受け止め、そして、それにお応えできるようにしたつもりでございます。

【記者】産経新聞の大泉です。よろしくお願いします。今回の予算編成で大きく改革した部分として、事業評価、終期を設定されて、知事がおっしゃるメリハリのある予算につなげたのだと思うのですけれど、ここら辺の意義をもう一度、知事の言葉で説明していただけるとありがたいのですが。

【知事】これまでのように、既得権と言ってしまったらきついかもしれませんけれども、もう当たり前のように確保されていた部分をもう一度、時代の変化も含めて見直すということで終期を設けました。それによって、各局が自律的に、この事業についてどれぐらい必要なのかということなどを改めて見直すきっかけとしたわけでございます。それによって、新規につぎ込む予算も確保できたということであります。
メリーちゃんとハリーくん、小池エージェンシー発案、それから、作成は財務局の若手ということでありますけれども、まさしくメリハリのきいた、そういった予算になったのではないかなと思っております。時代の流れは速いです。それによって、かつてからつけている予算の意味がなくなるということというのは、国政においてもよくあることでございます。ですから、東京都として、ここは知事が代わったということを契機に、むしろ私を活用してくれということを都の職員の方には指示をいたしました。ここはむしろ新しい予算に変えてしまおうという、そういうきっかけを作ることができたのではないかなと、こう思っております。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)

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