<ライナーノーツより> 数あるライブハウスのジャズ・シンガーの中でも、一際独自の唄声と個性的な表現力で多くの支持者を得ているジャズ・ボーカリスト吉川水砂子が、待望のデビューアルバムを完成した。題して「Whistle In My Ears」、全6曲のミニ・アルバムながら曲の構成やサウンドが意欲的で、吉川水砂子の長年に亘るボーカル研修の成果がバラエティ良く集揮されている。お聴き頂ければ直ぐ気付くように、ボーカルの楽器編成は原とも也という著名なギタリストとのデュオが中心で、先ずボーカルとギターの同時録音を実施した上に、曲趣に応じて異なる種類のギターの多様な奏法によるサウンドがオーバーダブされた。 曲構成も多様で新旧のスタンダード曲に新しいポップジャズを加え、更に英詩に原とも也が作曲したオリジナル曲(Whistle In My Ears)も含めた。このオリジナル作品にはとも也の子息の新鋭ギタリスト原ゆうまも参加して、ベースやパーカッションなど多彩なサウンドを付加している。 無論、吉川水砂子は平生のライブでは多くのピアニストと共演しているが、今回長年の親交ある有名ギタリストの原とも也とのデュオを組んで各曲に応じて原のアドバイスを受けながら原の卓越したギター伴奏のソロ・プレイに果敢に対応する表現力豊かなボーカルを完成したことを喜びたい ジャズ評論家瀬川昌久
1. I Wish You Love 2. Summertime 3. The Man I Love 4. One For All 5. What A Wonderful World 6. WhistleIn My Ears
東京を拠点に各地のクラブなどでも活躍しているジャズ・ヴォーカリスト、吉川水砂子さんのデビュー・アルバム。タック&パティーが作った「One For All」など珍しい曲も収録した本作は、ミニ・アルバムながら内容は充実している。彼女の声量を活かした美声と感情豊かな表現力が表出されているのが、ギターのオーバーダブを効果的に使った「What A Wonderful World」と、切々たる想いが込められた「Summertime」の2曲。キャリアを重ねたシンガーならではの余裕を感じさせる。聴きものは、別れた恋人に愛が訪れることを祈る珠玉のラヴ・ソング「I Wish You Love」だ。丁寧な歌唱とバックを務めるギターとの相性も申し分無く、聴き惚れてしまった。